#離れていてもつながれる 自宅で育てられるヒマワリお届け
- いわて
- 花で笑顔に
- 2020年6月25日
みなさんこんにちは。
新型コロナウイルス感染症の影響で外出や直接顔を合わせての交流の機会が減る中、「#離れていてもつながれる」を合言葉に、自宅など屋内でも育てられるミニヒマワリの栽培セットを届ける活動が、釜石市内を皮切りに始まりました。見守り訪問活動をする地元の社会福祉協議会などと連携し、6月末までに県内沿岸地域の皆さんにお届けします。
18日の釜石市内は快晴に恵まれ、盛岡から駆けつけた花王グループカスタマーマーケティング岩手支店の菅野浩之支店長、庄司哲也さんと、岩手日報社員が午前9時から夕方まで災害公営住宅や釜石東中学校などを訪問。ヒマワリの種と土、小型プランターのセットをお届けしました。
訪ねたうちの3カ所は、これまでに花植えと手洗い・ハンドマッサージで交流した住民の皆さんがお住まいの住宅。久しぶりの再会に笑顔が広がりました。
「国内外にいる花王社員もみなさんとつながり続けている想いをお届けにきました」。菅野支店長が住民の皆さんにセットを手渡すと、「一つ一つに違う言葉とイラストがかかれている!」と感激する声も。小型プランターに張ったシールに記された全国の花王社員からの応援メッセージが確かに伝わりました。
天神復興公営住宅の元自治会長の磯田一喜さんは、仮設住宅時代からスマイル活動に参加し住民へのお声がけなどで協力いただいています。「仮設のときもプランターに花を植え、カレンダーもいただきました。コロナで大変な中、つながりが生きているのがうれしいです」と笑顔で話してくれました。住民の皆さんは種を植えたプランターをベランダや屋外廊下に置いて育てています。
4カ所目の訪問先となった同市鵜住居町の根浜復興団地は、大槌湾が見渡せる高台にあり、36世帯が暮らしています。防災集団移転で集落を再建した皆さんがお住まいです。
この団地では花を育てる取り組みが盛んで、全ての世帯に花の鉢植えを取り付けられるソーラー照明付きのポスト「お花の灯台」があります。
ヒマワリを届けに行った時間は、昼下がりのお昼寝タイムでしたが、集まった住民の皆さんは「みんな昼寝している場合じゃないよ。来てない人を呼んで来よう」との掛け声のもと、軒先から声がけする姿も見受けられました。菅野支店長は「一体感がすごいですね」と感心していました。
さっそく種を植えたプランターを「お花の灯台」に置いて開花を楽しみに待つ人もいます。お届けから1週間後の25日に訪ねると、芽が出始めていました。民宿前川の前川良子さんは「同じ花をみんなで育てる楽しみができてうれしい」と声を弾ませます。
今年3月11日には、スマイルとうほくプロジェクトも協力し、鎮魂の花火「白菊」を団地の目の前の大槌湾上から打ち上げました。住民の皆さんも花火を間近で眺め、祈りました。
今回訪ねると、ご家族を震災で亡くされた住民の方が「花火、良かったよ」と優しい笑みを浮かべ声を掛けてくれました。「うちの子もヒマワリが大好きだったんだ。自宅の中で育てられるヒマワリ。きっと喜んでくれるね」
心に生きる家族への思い。胸が詰まって気が利いたことを言えない自分が情けなかったです。
この団地の最寄りにラグビーワールドカップ釜石開催に尽力した岩崎昭子さんが女将を務める浜べの料理宿「宝来館」があります。館内にはワールドカップ当時の興奮などを伝える展示コーナも新たに設けられ、スマイルとうほくプロジェクトの取り組みも紹介してくれています。
ヒマワリのセットをお届けに上がると「根浜を美しい緑と花で囲まれた理想郷にしたいです。春はサクラ、初夏はハマナスとヒルガオ、そしてこのヒマワリが加わりました。とってもうれしいです」と、熱を込めて話してくれました。
釜石鵜住居復興スタジアムが建つ目と鼻の先の高台に釜石東中学校があります。昨年開催されたラグビーワールドカップに合わせ、釜石から「ありがとうの気持ち」を世界に発信する活動「#ThankYouFromKAMAISHI」に共に取り組んだ生徒たちがいる学校です。
グラウンドには野球など部活動をする生徒たちがいました。私たちが校舎に近づくと一斉に「こんにちは」と元気なあいさつが響きます。震災10年目をたくましく生きる次世代の爽やかで心地良いあいさつに心が洗われる思いでした。
校内には「#ThankYouFromKAMAISHI」の三鉄ラッピング列車や待合室の模型などを展示したコーナーがあり、後輩達に活動を伝える場にもなっています。菅野支店長から生徒会長の佐々木太一さん(3年)にヒマワリのセットが手渡され、コロナ禍の中でも地域や世代を超えてつながり合い、前に進もうと心を一つにしました。
この日、最後のお届け先は昨年の台風19号を乗り越え3月20日に全線再開した三陸鉄道の釜石駅。山蔭康明駅長と、これからも絆を強くスクラムを組んで共に活動に取り組んでいくことを誓いました。
震災からの復興途上でのコロナ禍で、心も沈みがちな状況にあっても「つながり続けている」との実感があれば、次に向かう力を蓄えて前に進むことができるのではないか。わずか数年前に壮絶な体験をした人から笑顔で紡ぎ出される言葉を聞き、あらためて心を共にして歩み続ける大切さを胸に刻んだ一日となりました。
(岩手日報社釜石支局 千葉)
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