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釜石市でオンライン語り部が行われました

  • いわて
  • 2020年6月17日

みなさん、こんにちは。

 

釜石市鵜住居町の旅館・宝来館と震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」で6月15日、オンラインによる東日本大震災の語り部が行われました。

 

 

 

被災地への来訪者減少や新型コロナウイルス感染症の影響などで防災の教訓を発信する機会が限られる中、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を活用し、新たな伝承の形として初めて実施。語り部として宝来館職員や未来館を指定管理するかまいしDMC社員、学ぶ側として花王グループ社員ら計19人が参加し、命を守る教訓を共有しました。

 

 

宝来館では、女将の岩崎昭子さんと廣田一樹さんが参加。東日本大震災当時の行動や昨年のラグビーW杯の様子、今後の取り組みへの思いを語りました。

 

宝来館の目の前に広がる根浜海岸。この日は青空が広がり、初夏の気持ちいい浜風も吹き込みました。

 

 

そんな根浜海岸を背景にして席に座った岩崎さんは、パソコン画面に参加者が映し出されると柔和な笑顔を広げ、手を振ってあいさつ。震災を契機に深まった全国の皆さんとの絆を確かめていました。

 

 

これまでの思い出や活動を紹介するパネルを手にすると、画面から外れることも気にせずに熱弁する一幕もみられました。

 

 

 

一方、廣田さんは、初めは落ち着いた表情ながらもやや緊張した様子。

 

 

それでも、参加者の発言が進むたびにだんだんと硬さがほぐれていきました。

特にも、今後の街づくりや地域づくりを語る場面では、真剣なまなざしで、画面に食い入るように説明して、参加者の共感を得ていました。

 

 

 

 

いのちをつなぐ記念館からは、菊池のどかさん、川崎杏樹さん、小松野麻実さんが参加しました。

 

 

 

震災時、釜石東中3年だった菊池さんは「震災を生き抜いた子どもたち」という展示パネルの前で、必死に津波から逃れた小中学生の避難状況について説明し、自助と共助の大切さや防災学習の大事さを訴えました。

 

 

 

参加者は真剣なまなざしで、画面越しの菊池さんを見つめていました。

 

 

 

川崎さんは「災害で失われる命がなくなるよう、そのきっかけに自分がなりたい」と決意を延べ、小松野さんは「地元の子たちに地元を愛し誇りをもってほしい。これからも防災のワークショップや釜石の魅力発信などをしていきたい」とそれぞれ想いを伝えました。

 

 

 

参加者からは「迫力があった。より被災地に行きたい気持ちが強くなった」「防災の日頃からの積み重ねの大事さが伝わってきた」などの感想がきかれ、あの日の記憶を心に深く刻んでいました。

 

 

 

 

 

余談ですが、現地スタッフはその日は宝来館に宿泊。宝来館のあたたかいおもてなしや根浜海岸の美しい景色を堪能しました。

 

翌日の早朝、70代くらいの男性が、根浜海岸沿いのベンチにいることに気がつきました。

男性はおもむろに立ち上がると、二回手をたたき、何度も何度も海に向かって頭を下げ、祈りを捧げていました。しばらくすると、再び腰掛け、海を見ながら食事を取り始めました。

まるで海に向かって誰か大切な人と一緒に朝食をしているかのようでした。

 

 

 

もうすぐ震災から10年を迎えます

 

 

オンライン語り部は、今後取り組みを本格化する予定です。

 

語り部のひとり、菊池さんは「少しでも長く生きようと思う。生きてたくさん伝え続けていきたい」と話していました。

 

 

二度とあの悲しみを繰り返さないように、あの日の記憶がしっかりと未来へ語り続けられていくように、その力に私たちも少しでもなれるよう取り組んでいこうと心に誓いました。

 

(スマイルいわて事務局・小野寺)

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