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日鐵住金建材株式会社仙台製造所 被災地の企業だからこそ生まれた堅固な津波避難タワー。
最後に訪れたのは、仙台港地区にある日鐵住金建材株式会社仙台製造所。

最後に訪れたのは、仙台港地区にある日鐵住金建材株式会社仙台製造所。ここでは、所長の平山さんと社員の方々が迎えてくれました。まずは、事務練で震災当時の模様を、スクリーンに投影されたスライドとともに語る平山さん。地震発生直後、避難マニュアルに従い、敷地内にある避難場所“築山”に移動したそうです。そして、約1時間10分後、 未だかつてない不気味な地鳴りを感じて七北田川方面を見ると、真っ黒な水の壁が押し寄せてきました。大津波は工場施設に壊滅的な被害を与えましたが、工場騒音防止と緑化促進のために残土を使って造られた高さ5メートル、長さ180メートルの築山は崩れることもなく、所員の命を守り切りました。

事務練を一旦出て、その築山に上ってみることに。細い石の階段の先には、うっそうと生い茂る竹やぶと小さな神社がありました。もし、マニュアルに従わず自己判断で別な場所へ避難していたらと考えると、肝が冷える思いをしました。

細い石の階段の先には、うっそうと生い茂る竹やぶと小さな神社がありました。
感謝と畏敬の念を込めて、小さな祠が祭られた

感謝と畏敬の念を込めて、小さな祠が祭られた

そして、一年をかけて製造所が完全復旧。それと同時に、津波の直撃を目の当たりにした所員の経験と技術者としての発想を活かし、敷地内に200人が安全に避難できる「津波避難タワー」を建設しました。さらに、2012年11月20日、有事の際には地域住民の津波避難施設として開放するため、津波避難協定を仙台市と締結しています。

中学生記者たちは、実際に津波避難タワーへ上って取材も行いました。格子状に建材が組み立てられ、外側からは隙間だらけで頼りなく見えますが、内部に立ってみると波が押し寄せてもその力を減少させる構造であることが分かります。そして、2階部分には飲料水の備蓄倉庫や作業用の道具入った保管箱があることを確認。増設された3階部分もしっかりとした躯体であることが感じられました。

3階建のセーフガードタワー。海の近さを改めて実感。
3階建のセーフガードタワー。海の近さを改めて実感。

3階建のセーフガードタワー。海の近さを改めて実感。

 「セーフガードタワー」の名称で販売を行い、より多くの人を津波被害から守りたいと語る平山さん。このセーフガードタワーの存在を、もっと広く知ってもらうことが必要だという中学生の発言に、「人間は時が経てばいつか忘れてしまいますが、自然災害は忠実にまた繰り返しやってくるもの。だから、過去の歴史に学びながら、あらゆることを想定して日々の訓練を重ねることこそが重要ではないでしょうか」と語ってくれました。

エンターテイメントの魅力発信地であり、帰宅困難者を守る重要拠点。

ワークショップ 中学生記者の感想 ロザンの『いっしょに考えよう』コーナー