- みやぎ
- 2016年11月14日
こんにちは! スマイルとうほくプロジェクト事務局・河北新報社の浦田です。
「つながる、広がる!笑顔の輪」キャラバンで、10月22日(土)・23日(日)の2日間は宮城県石巻市の仮設住宅を訪問しました。
花王レポーターの井上さんの実施報告をアップしましたので、みなさんご覧ください!
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私の住む和歌山県は、近い将来に発生が危惧されている東南海,南海地震の想定震源域から近く、特に県南部の地域では地震発生により大きな被害が出ることが予測されています。私の暮らす和歌山市は県北部にありますが、海抜1mもない私の自宅近くには天井川が流れ、海から1㎞余りの立地環境にあります。
いずれ発生する可能性がある地震と津波への意識が徐々に増してきたときに東日本大震災が起こり、衝撃的でとても他人事とは思えないものでした。今、自分に出来ることは何か?役に立てることは無いか?と自問しながら、早くも震災後5年余りを経た今年、「つながる、広がる!笑顔の輪」キャラバンに参加させて戴くことで、ようやく現地を訪れることができました。
今回訪問させて戴いた宮城県石巻市で私が経験したこと、そこからの想いをまとめます。
今回訪問した宮城県石巻市は、仙台から高速道路を利用して車で1時間ほどのところにあります。市街地の様子からは、震災の爪痕はそれほど感じられません。ごく普通の街並みを眺めながら進み、まだ完成して間もない様子の震災復興住宅を横目にして程なく、当たり前のような市街地の一角に、初日の訪問地である向陽団地が現れました。日常の生活風景の中にあるその仮設団地は5年余りを経て、それぞれが復興住宅に移ったり自宅を再建されたりと徐々に入居者が減少し、今では入居世帯は約半数だそうです。歯抜けになった仮設住宅の長屋の様子や少し静けさの感じられる雰囲気から、震災から5年余りの時間の流れを感じると共に、街も人々も、徐々に復興が進んでいるようにも思いました。
10月22日(土)13:00~
宮城県石巻市 向陽団地仮設住宅集会室
〔参加者の皆さんと〕
二日目訪問の開成第10団地は少し山手の丘陵地にあり、仮設住宅の家並みの中を車で移動しなければならないほどの大きな団地でした。ここも徐々に入居者が少なくなってきていて、団地内に分散する入居者の世帯を集約する話もあるそうです。地震と津波で自宅を追われ、この団地に移り住んでからもなお、同じ団地内ではあるものの、また、移り住まなければならない状況もある。復興に向けた過程にある様々な問題の一端を、現地に行って初めて垣間見た感じがしました。
10月23日(日)10:00~
宮城石巻市 開成第10団地仮設住宅集会所
〔晴れ間が広がって暖かくなってきました〕
しかし、いずれの団地でも「つながる、広がる!笑顔の輪」キャラバンに参加して戴いた皆さんは気さくでお元気なかたばかり。開始直後はお互いに少しまだぎこちない感じでしたが、プログラムが終わる頃にはすっかり打ち解けて、帰り際には別れが惜しまれる程でした。
〔少し緊張気味の面々…〕 〔これから何があるのかな?〕
プログラムは、プランターへの花植えから始まります。用意されたビオラの花をめいめいに好きな色を選び、みんなでプランターに植えていきます。
「私はお花が好きだから嬉しいわ!」「家でもお花を育てているのよ!」と、ビオラの花言葉『少女の恋』のように、童心に帰って目を輝かせながら楽しそうな皆さん。少し打ち解け会話も弾みます。
次は手洗い教室です。手を隅々まできれいに洗う6つのポーズを、小学生の子供さん向けの『あわあわ手洗いの歌』に合わせて歌って覚えます。少しテンポが速いので焦りますが、画面を食い入るように見ながら、みなさん一生懸命。その後は汚れに見立てたクリームを塗ってから6つのポーズで手を洗って汚れ落ちを確かめます。「あら、まだ汚れが残ってる!」「よく落ちた!」みんなでワイワイ言いながら、手の隅々まできれいに洗いました。
〔さぁさぁ、練習!〕 〔お願い♪カメさん♪♪〕
手の汚れを落とした後は、ハンドマッサージ体験です。二人が一組になり、お互いに手を取り手のひらから肘までマッサージし合います。手と手をとり、手の温もりを肌で感じることで、心と心が繋がってお互いの距離がグッと縮まります。
終わる頃には腕も暖まりますが、心がとても温まります。「肩が軽くなったわ!」「ありがとう!」自然とあふれる笑顔。この頃にはプログラムも最高潮を迎えます。
楽しい笑顔が弾けて心が温まったところで、温熱アイマスクでのリラックスタイム。アイマスクからの優しい蒸気の暖かさとほのかな香りで癒されて、皆さんすっかりリラックスした様子。そこには心地よい音楽だけが静かに流れて、一瞬の静寂が訪れます。そして中には、心地よさそうに眠ってしまうお父さんも!
寝入っていた(?)お父さんを起こして(笑)、最後に、全国の社員が心を込めて書いたメッセージ入りのハンドソープをプレゼントしました。それぞれに想いを込めたメッセージを皆さんが目を細めて眺めている姿を、メッセージを書いた社員を代表して目に焼き付けました。
〔どんなメッセージ?〕
〔『ありがとう』の気持ちが伝わります…〕
あっという間の2時間が過ぎて解散となり、後片付けも終わる頃、プログラムに参加して戴いた皆さんにお茶を淹れて戴きました。
思いがけないおもてなしに、温かいお茶に、再び心が熱くなったひとときでした。お茶請けに出された、生わかめの和え物や、くずイモの炒め物…。どれもこれも美味しくて、楽しい話に花が咲きました。ごちそうさまでした!
〔お疲れさまでした~♪〕
〔生わかめとおイモに舌鼓…〕
今回参加して戴いた方々のうちのお一人と、ハンドマッサージをしながらお話しをしました。手や腕が日焼けして若々しく張りのある様子に驚きましたが、今、不定期でお魚をさばくお仕事をされているそうで、なるほどと納得しつつ、「肩こりもあるよ」などと話しながら、仮設住宅での生活について「一人で部屋に閉じこもってあれこれ考えるよりも、外に出て仕事をすると気が紛れて良い」と。うなずくことしか出来ないでいると、「あと1週間ほどで復興住宅に入居するから、この仮設団地を出るのよ」とも、話してくれました。
復興に向けた明るい出来事だと思いましたが「この仮設に来てから出来たお友達とも離れ離れになるし、新しい住まいでまた一から繋がりを作らないといけない。震災の時は60歳を越したところだったからまだ良かったけど、70歳を間近に控えて大変だわ…」。お話が進むにつれて、徐々に復興が進んでいるようでも、その道のりは長くて厳しいことが肌で感じられてきて、まだまだ東北のみなさんに寄り添っていかなければと心に刻みました。
石巻の街並みはふつうな様子で、食事をしていても買い物をしていても、私の住む街の生活感と何も変わりません。
しかし、市街地の一角にある仮設住宅や、市街地から近い海岸線に出た瞬間に現れる建設中の大きな防波堤、取り壊されず、津波に襲われ1階部分だけ骨組みになった痕跡がいまだに残る建物。それに何より、小学校の校区の町内が丸ごと津波でなくなり更地になった広大な土地。これらの震災,津波の爪痕を目にしたとき、何か例えがたい違和感を覚えました。ありふれた街並みの間近に震災の痕跡。現地を初めて訪れた私は大きなギャップを感じました。
〔この町内が全て津波で…!〕
〔震災直後に描かれた看板。今のものは地元の中学生たちも手伝った2代目〕
震災後5年余りが経過して、東日本大震災の出来事が人々の意識から徐々に風化し薄れていくように感じています。メディアから伝えられる現地の今は、その一瞬、その場を映し取ったに過ぎません。立派な復興住宅が立ち並んでも、大きな防波堤が出来たとしても、それで復興は終わりではありません。そこで暮らす人々に寄り添って、繋がって、笑顔の輪をつくりたい。少しでもそのお役に立っていきたい。その輪をもっと広げ、伝えていきたい。スマイルとうほくプロジェクトのこの活動がどんどん広がって、東北の今を感じ共感し、大きな笑顔の輪に加わる人々が増えていくといいな、と思います。
最後に、今回のキャラバンで逆に元気をいただいた参加者の皆さま、お世話になった関係者の皆さま、心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
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