それは、東北と日本中を笑顔でつなぐプロジェクト

スマイルとうほくレポート@福島県 いわき市

  • ふくしま
  • 2016年11月8日

みなさん、こんにちは。

スマイルとうほくプロジェクト事務局のむなかたです。

9月24、25の両日、福島県いわき市の仮設住宅を訪問し、

花植えや手洗い教室、ハンドマッサージ体験を繰り広げてまいりました。

今回は、花王㈱生物科学研究所の平田智也さんからレポートが届きましたので、

お楽しみください。

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●9/24(土)13:00~

・高久第2仮設住宅

・広野町民の方々が生活しており、周辺にある第3、4、7仮設住宅を含めて約200名の方が避難生活を送っているそうです。

●9/25(日)10:00~

・高久第9仮設住宅

・楢葉町民の方々が生活しており、入居者数は約350名とのことです。

スマイル

広野町、楢葉町は福島原発から約30kmと近く、

一時の帰宅制限によっていわき市の仮設住宅へと移られた方々が

現在も多く生活されていました。

お会いした皆さまはすてきな笑顔で過ごされているのですが、

ふとした時に「こっちに移ってからちょっと寝つきが悪くて・・」

「前よりも肌の調子が悪い気がするの」と、

慣れない生活にストレスを感じる様子も垣間見えました。

東日本大震災の当時私は大学院生として薬学の研究をしていました。

友人とボランティア活動に参加して、

いち一個人として現地に赴くことで何らかの形で役に立てることもある、

ということに気づいた一方、

非常時において研究者という職業からできることが思いつかず歯がゆい思いでした。

 

花王の一社員となった今、

個人としての貢献はもちろんですが、研究の成果である製品を使って、

花王ならではの活動によって元気を届けようというスマイルとうほくプロジェクトの存在を知り、

ぜひとも参加してみたい!と応募を決意しました。

花王主催のプロジェクトは、まず一緒にきれいなお花を植えて、

コミュニケーションをとることから始まります。

天候のすぐれない期間が続き、外での花植え体験は予定通りできるか気がかりでしたが、

初日は雨も降らず、2日目に至っては重い気持ちを振り払うような久々の晴天!

きっと参加した皆さまの日ごろの行いがよかったのでしょう。

ガーデニングのお好きな方も多く、非常にてきぱきとプランターへ植え替えられました。

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花植えに夢中になって汚れた手。

当然みなさん手を洗おうとされますが、ちょっと待ってください。

その洗い方で本当にきれいになっていますか?ということで

、続いてはビオレ泡ハンドソープを使っての正しい手の洗い方講座を行いました。

汚れのモデルとしてブルーライトで光るクリームを手に塗ってもらい、

「あわあわ手洗いの歌」にのせて手を洗って頂いて、きれいに汚れが落ちているかをテスト。

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「思ったよりもきれいにならないものなのね」と、2回目、3回目の手洗いに挑戦される方続出。

それでも、「合格です!」「やったー!」と喜ばれる様子を見ると、こちらも楽しい気分になりました。

2日目は講師体験もさせて頂きました。

皆さんの前に立って話をするのはサポートの時との緊張感が全く異なり、

軽妙なトークで場を盛り上げる先輩方の実力に改めて頭の下がる思いでしたが、

皆様の協力で何とかやりきることができました。

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「普段はなかなかここまでしっかりやらないわよね」との声も多かったのですが、

どの部分で汚れが落ちにくいのか少しでも気にかけた経験があると、

普段の簡単な手洗いにもその気づきが現れると思います。

今回の体験がそういった気づきにつながればいいな、と思いながら、お手伝いをさせて頂きました。

しっかり洗った手に潤いを。ということで、

続いてはcurelのハンドクリームを使ったハンドマッサージ教室。

プロジェクトメンバーも交え、二人一組で向かい合って、お互いの腕をマッサージ。

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はじめは照れの見える方もいましたが、だんだんとマッサージに夢中に。

血行が良くなると気分も上向いてくるのか、講師の方のトーク力の賜物か、

気が付けばどのテーブルからも明るい笑い声が。1ヵ月分笑った!などうれしい声もありました。

誰かの腕をクリームでマッサージ、というのは普段だとなかなか気恥ずかしい気もしますが、

この前教わったからやってあげる!

というやりとりが後日されたらいいなあ、と感じずにはいられないほどの盛り上がりでした。

最後は気分を落ち着かせて、一日の疲れを取ってください、

ということでホットアイマスク「めぐリズム」の使用体験。

「気持ちいいのね」「目がよく見える気がする!」といったうれしいご感想を頂けました。

一日目のプロジェクト終了後、

いわき市地域防災交流センター久ノ浜・大久ふれあい館にて、

いわき語り部の会 石川弘子さん(いわき復興支援・観光案内所所属)より、

当時のようすや復興へ向けた現在の取り組みについてお話を伺いました。

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館内は被災当時の様子を克明に記録する写真、動画が多く展示され、

その様子は息をのむものでした。

また建物は海辺からほど近いところに建てられているのですが、

それ自体に今回の教訓を生かした津波災害への備えがなされていました。

最大260人が避難でき、3日間滞在可能な津波への防災機能を備えているとのこと。

構造も水が抜けやすく流されないよう、

また鍵がかかっていても非常時用のセンサーを蹴ることで開錠できるなど、

様々な工夫が見られました。

防波堤の間近には幸運にも流されずに残った神社が祀られており、

今でもこちらへ参拝される方は絶えないとのことでした。

防波堤があることで景観が損なわれる、

いざ津波が来た時に目視できないのは怖いなど、さまざまな意見があるとのこと。

復興に向けた街づくりの難しさを感じさせられました。

その中でも、たとえばいわき市で発見されたフタバスズキリュウを取り上げた町興しや、

現地を訪れて海産物を食べてもらうためのイベントなど

、さまざまな計画について熱弁される様子からは、

まわりの町村を巻き込んだこれからのいわき市のあり方を本気で考えていらっしゃる様子が伝わってきました。

全編を通して「とても楽しかった!来てくださってありがとうね」との声を頂けて、

うれしいような、胸の詰まるような思いでした。

さまざまな苦労がある中で、たくましく、楽しんでプログラムに参加して頂くことができました。

正直に言ってこちらが、皆さまの明るさ、元気と力強さを分けて頂いたように感じます。

研究者としての地道な仕事でも、その積み重ねが形になって、

めぐりめぐってたくさんのひとの笑顔に繋がることが確かにあるのだと教えられた気がしました。

語り部の方の話では、

「仮設への一時の避難とはいえ、せっかく出会ったのだからお互い理解し、

仲良くしたいし、一緒に出来ることがあるのなら取り組んでいきたい。

一緒に住んでいるのに、心に距離があるのでは寂しいじゃない?」と

お話されていたのが特に印象的でした。

故郷へのこだわり、境遇の違いなど複雑な感情はどうしてもあると思うのですが、

ともに過ごすことで少しでも気持ちが近づき、

つらいだけの記憶ではなく、つらい中でも新しい、

いい思い出が浮かんでくるような時間がつくられていけばいいな、と感じました。

一度自分で行ったことのある場所は、

ふとニュースなどで名前を目にした際、単なる記号でなく生活の場や暮らす人々、

訪ねた際の記憶を伴った具体的な姿としてイメージすることができるようになります。

私はこれこそが、被災地を実際に訪れてみるべき理由のひとつではないかと感じています。

大変そうだな、とか、復興したのか、よかったな、という感想に留まらず、何が、どうして大変なのだろうか、

復興の裏にどんな苦労があって、どんなアイデアが実現されようとしているのか、

そういった実際のようすまで考えが及ぶようになってきた気がしています。

もちろん、まだまだ表面的な部分しか見えていないのかもしれませんが、

それでも参加の前後で私自身の実感は変わってきたように感じます。

すてきで、かつ重要な機会を与えてくださったSTP関係者の皆様には感謝の思いでいっぱいです。

今後もできる範囲で協力していければと考えています。

ありがとうございました。

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