つながる、広がる ! 笑顔の輪 in 宮城県気仙沼市&千厩(一関市)
- みやぎ
- 2015年10月28日
こんにちは! スマイルとうほくプロジェクト事務局・河北新報社の佐藤です。
「つながる、広がる!笑顔の輪」キャラバンで、10月3日(土)・4日(日)の2日間は宮城県気仙沼市鹿折の仮設住宅と、岩手県一関市千厩(せんまや)に作られた気仙沼の方々が住んでいる仮設住宅を訪問しました。
花王レポーターの鹿島さんの実施報告をアップしましたので、みなさんご覧ください!
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こんにちは。茅場町事業場の鹿島 進(かしま のぶ)です。
私は、宮城県気仙沼市に伺い、仮設住宅にお住いの方と交流させていただきました。
気仙沼には、昔旅行で訪れたことがあったので、震災の時に、一帯が炎につつまれた様子をニュースで観たときに、とても心が痛みました。この地域は、津波の被害とともに、タンクの重油などが漏れ出したことによる火災の被害も大きかったのです。闇夜に、気仙沼湾の海が燃えさかるさまは今までに見たことのない異様な光景でした。
仮設住宅を訪問する前に、「リアス・アーク美術館」に立ち寄り、『東日本大震災の記録と津波の災害史』の展示を見学しました。そこでは、地元の学芸員の方が自身で撮影した写真と集めた被災物が、当時の様子を切々と訴えかけていました。特に、さび付いたデジカメや、焼けたトタンなどの展示には、持ち主のメッセージが添えられており、胸に迫りました。どれひとつも瓦礫ではなく、大切な思い出の一部なのだということに改めて気づかされました。
▲展示を見学した「リアス・アーク美術館」にて。
初日は、中学校敷地内にある「応急仮設住宅」でのプログラムでした。”応急”と称しながら、もう4年以上も暮らしていらっしゃるわけです。不便や心配もおありだろうと思いますが、集まっていただいた方々は、みなさん明るく気さくに話しかけてくださいました。
花植えと手洗い講座でだんだんと打ち解けてきて、後半のハンドマッサージでは、たくさんお話もできました。初対面の、私の母と同じ世代の方の手をとり、もんでさしあげることは不思議で、くすぐったいような体験でした。けれど、触れ合うことで、身の上話がはじまり、当時でのご苦労についても聞くことができました。
ある女性の方は、今でも毎朝、散歩かたがた丘の下の自宅があった土地を眺めにいくそうです。もうひとりの方は、25年間製材の仕事をしていた職業がら、木材を押さえる指が曲がってしまったことを、マッサージの時に気にされていましたが、私には立派に働いた証として、とてもいとおしいものに感じました。
仮設住宅にお住まいのひとりひとりに、語りつくせぬ辛苦がある――。ご自宅を無くされているのだから当然なのですが、そんな当たり前のことさえも、現地に来て、そこに暮らす方とお話しして、改めて心に強く刻み込まれました。
▲この日のプログラムです。
▲プランターでの花植えの様子。みなさん、土いじりはお手のもの。
▲手洗い講座での、洗い残しチェック。すみずみまで洗うのは、意外とたいへんです。
▲ハンドマッサージで、自然と距離が縮まり、話も弾みました。
▲初日に訪問した仮設住宅のみなさんと。
▲花を植えたプランターは、お持ち帰りいただきました。丈夫できれいに咲きますように。
2日目の訪問先は、お隣りの一関市にある仮設住宅でした。こちらはずいぶん山の中で、海沿いに住まわれていた気仙沼の方々にとって、冬の雪の多さには毎年驚くそうです。
こちらでハンドマッサージをした高齢の女性の方は、右手が少しご不自由でした。震災の少し前に骨折をしてしまったが、その後の混乱で思うように治療できなかった。そんなことを恨みがましく言うでもなく、ときどき息子が来てくれることを嬉しそうに話していただけました。一緒にパンジーやスミレを植えたプランターを、ご自宅まで運んでいったのですが、花好きの方で、いろいろな鉢植えを育てていらしゃいました。
もともとは庭のあるご自宅で園芸を趣味にされていた方です。仮設住宅では、鉢植えになってしまい勝手が違うとのことでした。それでも、津波に負けず次の年にも花をつけたご自宅のユリを移し替えて、大切に育てているとのことで、感銘を受けました。
▲仮設住宅の集会室のカレンダー。楽しみに待っていただいてうれしかったです。
▲ここの仮設住宅は、花がいっぱい。園芸好きの方が多い様子。
▲花植えの最中で。みなさん本当に気さくです。
▲ハンドマッサージで触れ合ううちに、たくさん世間話もできました。
▲ハンドマッサージでペアになった方と一緒に。
▲2日目に訪問した、仮設住宅のみなさんと。
最後に、気仙沼の震災語り部として、私たちを案内していただいた方のことを記したいと思います。
その方は、3人のお子さんの子育ての真っ最中のママさんで、当時2歳だった子どもと、ご自身の母親と、すぐ近くにいたのに3日間連絡がとれず、はぐれてしまった体験を生々しく話していただけました。
3日ぶりにわが子と出会えたとき、「抱きしめているのに、生きているかどうか、ほんとうなのかどうか、実感が湧かない気持ちだった」という言葉は特に印象に残っています。
語り部の方のご家族をはじめ、震災の時 たくさんの方が避難した小高い山の展望台も案内していただきました。眼下に眺める気仙沼の湾の眺めは、とてもきれいでおだやかで、海の恵みゆたかな素敵な町だなと素直に感じるような光景でした。
気仙沼はこれまでにも、何十年に一度、津波の災害に見舞われてきたそうです。先人の教訓が記録として残っていたはずなのに、今回の震災ではうまく活かすことができなかったと語り部の方はおっしゃいます。災害はひとごとではなく、いつも自分の身に起こることかもしれないと考え、備えておくことが必要という言葉が胸に残りました。
▲震災の語り部の方と。気仙沼湾を見下ろす高台にて。
市街地では、土地のかさ上げや復興公営住宅の建設がたけなわでした。フカヒレで有名な港の観光市場も、賑わいが戻っている様子に見えました。またきっと、気仙沼に来て、復興していく町の様子をのぞいてみたいと思います。「スマイルとうほく」で出会ったみなさんに、ほっとできる環境が一日でも早く整いますように願っています。プロジェクトで見聞きしたこと、感じたことを、職場や知人に伝えることも 大切だなと感じています。ずっと関わって、気にかけていることが、応援の第一歩なのかなと思います。ありがとうございました。みなさんひとりひとりに会えてうれしかったです。
▲全国の花王社員からのメッセージ入りハンドソープです。関心を持ちつづけることが大切だと感じました。
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