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漁業生産組合 浜人(はまんと) 理事 阿部勝太さん 支え合って生きる強さと、若き漁師たちの情熱。

唐桑半島の海岸線をたどり、北上町十三浜地区の漁業生産組合浜人の事務所へ。 (C)Natsuki YASUDA / studio AFTERMODE

唐桑半島の海岸線をたどり、北上町十三浜地区の漁業生産組合浜人の事務所へ。現地で一行の到着を待っていた阿部勝太さんは、前回と同様、爽やかな笑顔で出迎えてくれました。ちょうどこの時、収穫したばかりのワカメを籠に集め、塩蔵加工するための作業を行っている最中。浜のお母さんたちにすすめられ、一番体格の良い中学生が、中身のいっぱい詰まった籠に手をかけましたが、これがなかなかの重量でビックリ。軽々と作業場に運ぶお母さんたちの手際の良さに、みんな感心しきりでした。

浜のお母さんたちにすすめられ、一番体格の大きい中学生が、中身のいっぱい詰まった籠に手をかけましたが、これがなかなかの重量でビックリ。

作業場内では、専用の釜でボイルしたワカメを、塩水が循環しているプールで冷却している様子を見学。阿部さんから一連の作業工程に関する説明も受け、その手間と根気の必要な仕事について学びました。また、ここで生産された塩蔵ワカメをインターネットで販売していることにも言及。国産ワカメの美味しさをアピールするため、原料の安全性をアピールしたり試食会を行ったりと、様々な工夫をしていることも知りました。

(C)Natsuki YASUDA / studio AFTERMODE

漁船を係留している入り江の前で、中学生たちが阿部さんにインタビュー取材スタート。「震災の経験で強く感じたことは何ですか」という問いに、「以前は、友人や家族の大切さを、身にしみて強く感じていたことはありませんでした。この十三浜に津波が押し寄せ、家や道路がめちゃくちゃになってしまった時、学校時代の友人や親戚たちが、自分や家族の安否に関する情報を集めてくれたり、いろいろな支えになってくれたりした事を知り、自分が気づかないところでたくさんの人たちに助けられていることを実感しました。このことが、日々、身近な人たちとのつながりを大事にしなければという考え方につながりましたね」と阿部さん。まさに、彼が理事を務める浜人は、同じ十三浜地区で被災した5家族が集まって設立され、身近な支え合いの元で運営されています。

明るく笑顔を絶やさない阿部さんですが、彼もやはり辛い震災経験を持つ一人。「どうやって辛さをのりこえたんですか」という質問に、「友人や家族だけでなく、日本、そして世界各地から日々、励ましのメッセージを受け取っていますし、大きな問題に悩んでいる時は、周りの人たちが一緒に解決法を考えてくれたりします。日々のこの繰り返しがあるからこそ、今、笑って過ごせるまでになりました」と教えてくれました。

若い漁師たちがユニークなアイデアを出し合い、漁業の魅力発信に取り組んでいる浜人の意義にも言及。「農家や漁師などの生産者は、通常、市場や漁協に出荷して終わりなので、意外と食べてくれる人の声を知らないことが多いのではないかと思います。僕らが一生懸命、ワカメやホタテを生産しているのは、みなさんにおいしいと感じて食べて欲しいから。そして、そういう声を耳にすることで、次はもっとおいしいものを作ろうという原動力になっています。震災前、特に若い世代の漁師は、自分たちが手がけた生産物を消費者がどのように思っているかなんてまったく関心がなかった。仕事を再開する時、自分たちはどんな漁業をするべきなのかを考える機会がありました。その結果、食べてくれる人の声を聞いて、その感想や批評を生産の現場に活かすべきだとみんなが考え、そのための場所作りをしてできたのが浜人なんです」と自信にあふれる笑顔で答えてくれました。

今まさに歩み始める、 石巻の水産業の未来に対面。

中学生記者の感想 ロザンの『いっしょに考えよう』コーナー