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いわき市が直面している『いま』とは
東側は広く太平洋に面しているため、温暖で過ごしやすい気候が特徴です。

福島県の東南端にあり、1231.35㎢の広大な面積を持ついわき市。東側は広く太平洋に面しているため、温暖で過ごしやすい気候が特徴です。特に、小名浜港を中心としたエリアは、映画『フラガール』の舞台となった「スパリゾートハワインアンズ(旧:常磐ハワイアンセンター)」をはじめ、豊富な海産物を扱う観光市場や、この地のシンボルにもなっている環境水族館、サーファーたちが集まる美しい海岸などで、“東北の湘南”とも称されています。また、サンマなどの豊富な水揚げを誇る漁港、たくさんの製造工場が集まる臨海工業地帯としても、いわき市の経済を長年にわたって支え続けてきました。

東日本大震災では、臨海地区が津波の被害を受け、多くの死者を出し、膨大な数の建物が損壊しました。市街に避難している市民は7,000人以上。そこへ、東京電力福島第一原子力発電所周辺の自治体から23,164人の避難者を受け入れており、その数は福島県内の市町村で最多となっています(2013年11月30日現在)。また、震災後、原発避難者だけでなく多くの復旧作業員が流入したため、住宅不足という新たな問題も。人口の急増は、医療・福祉施設の飽和状態や交通渋滞の慢性化を生みだすなどこれまでに無い問題が生まれました。

双葉町や大熊町、富岡町などの住民は、いわき市だけでなく関東方面にも避難して離散状態にあります。帰還の見通しは立っていません。

各家族がバラバラ状態で暮らしているため、かつて地域で育まれたコミュニティも失われたまま。その中で、復興公営住宅(県営住宅)を中心として、生活に必要なサービスを整え、町外で安心して暮らせる環境を確保する“町外コミュティ”整備構想も進んでいますが、やはり、住み慣れた我が家での暮らしを望む気持ちは、ますます高まるばかりです。

困難が山積みのいわき市に、2013年9月から清水敏男市長による市政がスタート。新市長の下、復興のスピードアップに期待が集まっています。

'いつか帰還する その日を願いながら' 双葉町役場いわき事務所 町長 伊澤 史朗さん
'いつか帰還する その日を願いながら' 双葉町役場いわき事務所 町長 伊澤 史朗さん

双葉町議会議員、副議長を経て、2013年3月から現職。原子力発電所の5号機と6号機が立地していた双葉町の住民は、福島市や郡山市、いわき市に3,783人、県外に3,131人が避難しました。町全体の96%が立ち入りを厳しく制限する帰還困難区域になり、残りの4%も津波の被害が甚大なため、今も町への帰還は許されていません。役場機能は、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市)、旧埼玉県立騎西高校(加須市)と転々とし、現在はいわき市東田町に移しています。復興のゴールを双葉町への帰還と町の復興に定め、被災者の生活再建やコミュニティ維持のための施策を日々検討しながら、町民のために尽力しています。

双葉町HP
http://www.town.fukushima-futaba.lg.jp

'受け継がれた絆をここで絶やさぬために' 双葉町応急仮設南台自治会 自治会連絡協議会会長 齊藤 宗一さん
'受け継がれた絆をここで絶やさぬために' 双葉町応急仮設南台自治会 自治会連絡協議会会長 齊藤 宗一さん

ホウレンソウ栽培を大規模に手がけながら、民生委員や農業委員など地域の役職を広く務め、町のためにリーダーシップをとって活躍していた齊藤さん。震災時は、南相馬市立総合病院へ入院中で、手術間もない頃、歩行訓練を始めたばかりの状態で避難しました。関東地方で避難場所を探していましたが郷里への思いが募り、猪苗代町の「リステル猪苗代」へ。その後、いわき市南台応急仮設住宅へ移り住みました。南台仮設住宅の自治会長を務めながら、双葉町全体の自治会連絡協議会会長にも就任。バラバラになってしまった地域コミュニティの絆を取り戻し、先祖代々受け継いできた我が家に戻る日を夢見ています。

'思い描くのは当たり前の温かな日常' いわき市立豊間中学校
'思い描くのは当たり前の温かな日常' いわき市立豊間中学校

いわき市で、約200人という最も多くの犠牲者を出した薄磯地区にあり、校舎や体育館が津波によって破壊されてしまいました。当時の在校生で亡くなった生徒はいませんが、豊間小学校4年生、6年生でそれぞれ一名ずつ命を失っており、存命なら現在中学1年生と3年生の同級生でした。2011年第62回NHK紅白歌合戦に登場したピアノは、いわき市在住の調律師が自費で修理したこの中学校のもの。現在、生徒たちは豊間小学校の仮設校舎で学んでいます。今回は、中学生同士、交流を深めながら、故郷とその未来について共に考えました。

いわき市立豊間中学校HP
http://www.toyoma-j.fks.ed.jp

'医・職・住を充たし復興の最先端都市に' いわき市役所 市長 清水 敏男さん
'医・職・住を充たし復興の最先端都市に' いわき市役所 市長 清水 敏男さん

福島県議会議員を4期、いわき市議会議員を2期歴任した後、2013年9月に出馬し、激戦を勝ち抜き初当選。なかなか復旧・復興が進まない現状を打破する強い信念を掲げ、“いわき再生”のために邁進しています。特別政令指定都市の実現を目指し、いわき市民の生命と財産を守るための3つの最優先課題“医療”“雇用”“住居”の問題解消にも取り組み、奮闘中。中学生記者の訪問を歓迎し、さまざまな質問に快くお答えいただきました。

いわき市役所HP
https://www.city.iwaki.fukushima.jp

'震災は、「過去」のものではない' いわきリエゾンオフィス企業組合 理事 小磯 孝仁さん
'震災は、「過去」のものではない' いわきリエゾンオフィス企業組合 理事 小磯 孝仁さん

福島民報社いわき支社に務めていましたが、震災の脅威を身をもって経験したことから、故郷のために力を尽くしたいと思い退社。地域の情報化と国際化、産官学連携や起業支援に係るコンサルティングを行う「いわきリエゾンオフィス企業組合」に転職しました。現在は、理事としていわきの農業の復興を目指し、地元の伝統野菜の継承やいわきブランドの復活のため、日々努力を重ねています。

いわきリエゾンオフィス企業組合HP
http://www.iwaki-liaison.co.jp

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