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大槌町・大槌町役場 大槌の海とともに長い歴史を刻んできた町ゆえの復興計画。
大槌町旧庁舎。一部保存する方向で検討されている

大槌町旧庁舎。一部保存する方向で検討されている

夏の強い日差しが降り注ぐこの日、中学生記者たちを乗せたバスが、大槌町役場前に到着しました。辺りを見渡すと、荒涼とした平原で盛土工事が行われているだけの寂しい景色。ここが、震災による津波の被害を受けた場所であることを如実に物語っていました。

旧・大槌小学校の校舎を改修した大槌町役場庁舎。入口の前には、仮設テントに消防車が並び、いまだ物々しさを感じさせます。そこから一行は中央公民館のある高台へと上り、ロザンのお二人と合流しました。そして、大槌港と街並が一望できる場所で待っていた碇川現町長と対面。町長は、旧庁舎が津波によって打撃を受け、加藤宏暉前町長と職員40名が犠牲になったこと、長らく町政の執行機能が失われて混乱状態にあり、ようやく町長選挙を行って就任するまでのエピソードを話してくれました。現在は、復興計画に基づく新たな町づくりを進めていると、工事車両が行き交う街並を指差して語る町長。「新しい町づくりのコンセプトは、“海の見える、つい散歩がしたくなる、こわだりのある美しいまち”の実現です」と笑顔。中学生記者から、「津波が怖い住民は海を見たくないのでは」と質問すると「“海の見える”というのは、絶対に津波の犠牲にならない、安全な高台に住んでもらおうという思いを込めています。私たちの心の拠り所である大槌湾をコミュニティの象徴と捉え、美しい海の景観を眺めながら安心して散歩ができる大槌町にする、というのが目標です」と答えてくれました。復興予算や人材・資材の不足、消失してしまった土地所有者に関するデータなど、まだまだ問題が山積する現状がありながらも、「大槌町に住む人が今後の指針を決めていかないと、町が消滅してしまいます。そのためにも、町づくりに関する条例の策定なども進めていきます」とも教えてくれました。

町長の話を聞きながら、眼下に町を見下ろす
町長の話を聞きながら、眼下に町を見下ろす

町長の話を聞きながら、眼下に町を見下ろす

碇川町長の取材を終えた一行は、旧庁舎跡も見学。津波の威力で建物は無残な姿と成り果て、危険防止の高いフェンスに囲まれていました。献花台には花が供えられ、この場所で多くの人が亡くなったことが伝わります。この旧庁舎を震災遺構として保存するか、解体するかで町民の間で意見が二分し、結果、一部を保存する方針に決めたと、先程の取材で語った碇川町長。恐怖を味わった住民の方々の気持ちを十分にくみ取りながらも、震災の記憶を広く伝える担い手として参加した中学生記者たちは、真剣な眼差しでひたむきにレンズを建物へ向けました。

釜石市・大槌町が直面している『いま』とは

津波の犠牲者を無くしたいという願いで生まれた、全速力の駆けっこ。