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中ノ郷騎馬会 代表 中島 三喜さん 伝統を継承し、祭り本番に備える騎手たちの誇りと責任。
祭りで騎馬武者が乗る馬たちが飼育されている大原厩舎でお話を伺いました。

早朝、相馬野馬追の練習を案内してくれた中島さんのもとへ、再度取材のために訪問。祭りで騎馬武者が乗る馬たちが飼育されている大原厩舎でお話を伺いました。まずは、相馬野馬追の由緒ある歴史についての説明。中村相馬氏の遠祖である平将門が、所領の下総国相馬郡小金原(現:千葉県松戸)で行った野生の馬による武術訓練の伝統を継承し、捕らえた馬を相馬氏の守護神「妙見」に奉納したことがこの祭りの発祥だと語ります。「じゃあ南相馬市の名前は、その頃が由来なんですね」という宇治原さんの言葉に中島さんが頷くと、一同から「へぇ〜!」という感心の声が揃いました。

中学生から、一昨年は規模を縮小し、昨年にほぼ通常開催できた時の心境を聞かれた中村さんは、「祭りを行う5つの郷のうち、一昨年は2つの郷だけで執り行ったのを見て、私たちは非常に残念な気持ちでいっぱいでした。ですから、昨年、通常開催できたことが本当に良かったと思い、今年に懸ける意気込みにつながっています」と答えてくれました。これまでどのような苦労があったかという質問には、「津波で騎馬会員が数名亡くなり、家族が亡くなったという方もたくさんいました。厩舎から逃げられず死んでしまった馬もいます。いまだ避難生活を強いられている方もいたりと、とても困難な状況にありますが、伝統を途絶えさせることなく、またこの地で相馬野馬追を通常開催させたいという思いは強かったですね」と中島さん。世界中から励ましのメッセージや義援金もたくさん届けられたそうで、「また立派に相馬野馬追を行うことが、みなさんへの恩返しだと思っています」と話してくれました。そして、「先人たちが築き上げてきた伝統を、後世に伝えることが私たちの役割だと考えています。ですから日頃、騎馬会員の方々には、より立派な祭りとなるように心がけを持ってほしいと話をしています」とも語ってくれました。

中島さんの勧めで、中学生たちも騎馬武者の衣装をまとい、乗馬体験にチャレンジ。
厩舎の見学

意外と似合う?いい体験をさせていただきました。宇治原さんも思わずパチリ。

中島さんの勧めで、中学生たちも騎馬武者の衣装をまとい、乗馬体験にチャレンジ。初めてながら意外にも乗りこなしている姿を見た菅さんは、「まるで、若殿とお姫様やな!」と手を叩いて大絶賛。厩舎の見学も行い、馬の飼育や種類豊富な馬具の管理、騎手としての訓練など、年に数日だけの開催ながら、日々の努力の積み重ねによって相馬野馬追が行われていることを知りました。また、騎馬会員の方たちの祭りに懸ける強い誇りも感じ、伝承を継承することの重みにもふれる取材となったようです。

考える力を養った子どもたちの、無限の可能性を信じて。

中学生記者の感想 ロザンの『いっしょに考えよう』コーナー