それは、東北と日本中を笑顔でつなぐプロジェクト
取材一覧を見る
ワークショップ 地理や伝承、自分が置かれている状況を知り命を守る避難ルールと災害に対する万全な備えを。
大船渡市を巡り、様々な分野の人たちに取材を行ったまとめのワークショップを、ロザンのお二人と安田さんとともに行いました

大船渡市を巡り、様々な分野の人たちに取材を行ったまとめのワークショップを、ロザンのお二人と安田さんとともに行いました。まずは、自分たちの身の回りでどんな災害が起こると想定できるか、そしてどんな備えが必要かを考察するため、ペットを含む家族構成や過去に起きた災害、地形の状況などを思いつくままに書き出す作業から着手しました。

それぞれ出身ごとに違った事情を持つ中学生記者たち

それぞれ出身ごとに違った事情を持つ中学生記者たち。地震がめったに起こらなかったり、海とは無縁な県だったりと、実に様々なケースが採取できました。その中で共通していた認識が、避難場所や避難方法を周囲の人たちと共有する必要性です。いざという時に家族がどこに集まるかを決めておくため、あらかじめ家庭で話し合いの場を設けることが大切だという意見にみんな納得していました。また、備蓄品としてどんな物を用意し、どこで保管すべきかを議論。防災士の資格を持つ安田さんは、身の丈に合ったサイズの“防災袋”の用意を提案し、災害時に必要となりそうなものを9つのマス目に書き出してもらい、ビンゴゲーム方式で楽しく確認しました。濡れても消えず、重要な情報を書き伝えるのに便利な「油性ペン」といったアイテムは、中学生だけでなく同行した先生や保護者の方々も感心していました。

昼食を食べ終わった後、中学生記者がカメラを手にして撮影したたくさんの写真の中から、特に印象深かったものを選んで取材の感想を発表。やはり、被害の大きかった大船渡湾岸の景色や街並が印象深かったらしく、被災地の現状と対面した素直な気持ちを伝えてくれました。最後に安田さんは、「価値ある無駄をいとわない」というキャッチフレーズをスクリーンに大きく映し出し、いつ起きるか分からない災害のために備えているものは、もしかしたら一生使わないものかもしれない、けれどそれこそが自分の命を守る術となると語り、災害への備えの大切さを説きました。

中学生記者の感想

小野 永遠くん(福島県/新地町立尚英中学校2年)

小野 永遠くん(福島県/新地町立尚英中学校2年)
津波が襲ってくる映像を見たり大災害の対策に関する話を聞いたりと、貴重な経験ができて大変勉強になりました。この取材で知った津波の恐ろしさを周りの人たちに伝えて、犠牲になる人を一人でも少なくできればと思っています。

原田 瞳子さん(山口県/宇部市立小野中学校2年)

原田 瞳子さん(山口県/宇部市立小野中学校2年)
今回、大船渡を巡って自分が学んだり感じたりしたことを、クラスメイトにも教えてあげたいです。大津波がとても早いスピードで到達することも知り、すぐ避難するという心構えも広めたいと思いました。

長谷川 寛くん(富山県/入善町立内入善中学校2年)

長谷川 寛くん(富山県/入善町立内入善中学校2年)
3日間を通して、とても貴重な経験ができたと感じています。これまで震災を経験したことが無い地域では、大船渡市のように高台に逃げるといった防災に関する意識が低いと思うので、そういった情報を伝えていきたいです。

儀間 春香さん(沖縄県/名護市立屋我地中学校3年)

儀間 春香さん(沖縄県/名護市立屋我地中学校3年)
先生が見せてくれた震災直後の被災地の映像より復興が進んでいるようだったので、ちょっと安心することができました。沖縄は津波や台風の被害が多いので、自分の命はもちろん、友達や家族など大切な人たちの命を守るために、災害時のルールづくりを地元で進めるべきだと学びました。

吉崎 彩りあさん(群馬県/前橋市立東中学校1年)

吉崎 彩りあさん(群馬県/前橋市立東中学校1年)
テレビや新聞などで見ていたよりも、実際の被災地は被害が大きいことを知り、とても胸が痛みました。群馬県は津波の心配はありませんが、大地震によって火災や建物の倒壊といった災害で被害を受ける可能性もあるので、すぐに避難する大切さを訴えたいです。

髙瀨 彩友美さん(徳島県/鳴門教育大学附属中学校2年)

髙瀨 彩友美さん(徳島県/鳴門教育大学附属中学校2年)
沿岸地域が何もない寂しい状態だったので、復興はまだこれからなんだと感じました。家にいたお年寄りや小さな子どもを助けるために自宅に戻って亡くなった人の話を聞いて、そのような悲しいことが身の回りで起こらないよう、家族間での連絡網や避難ルールを作っておくべきだと思いました。

神林 大喜くん(奈良県/大和高田市高田中学校2年)

神林 大喜くん(奈良県/大和高田市高田中学校2年)
実際に被災地を訪れたのは初めてだったので、テレビで見るのとはだいぶ印象が違うと感じました。家具を固定するなど、地震の揺れに対する工夫をたくさん知ることができたので、友達や家族に教えてあげたいと思っています。

ロザンの『いっしょに考えよう』コーナー
  • ロザン 宇治原さん 今回はどこの取材地へ行っても、海と関わりの深いところばっかりやったな…。
  • ロザン 菅さん 特に大船渡湾の沿岸地域は、いかに津波の威力が凄かったかって、今でも感じられるくらいやしな。それでも、三陸鉄道が全線復旧しているというのはスゴイと思うで!
  • ロザン 宇治原さん 駅をたどりながら震災について学ぶ、というのは新鮮だったし、おもろかったね。
  • ロザン 菅さん 列車の車窓からも見た景色はキレイやったけど、昔の津波被害を伝える石碑や看板を見て、昔から繰り返される大津波と対峙してきた、大船渡の人たちの辛労を感じたわ…。
  • ロザン 宇治原さん それでも、記憶の風化があったり想定を超えたりして、東日本大震災では大きな犠牲を生んでしまったのは悲しい事実やな。後世に語り継ごうとする語り部ガイドの森さんや大船渡津波伝承館の齊藤館長の取り組みは、とても重要やと感じるわ。
  • ロザン 菅さん 現地で救助や捜索などの作業を行う消防団の活躍も忘れたらあかんよ!自分たちの安全を確保しながら、消防団活動を持続するために作った安全管理マニュアル「20分ルール」の基本的な考え方は、いろいろな災害対策のルールづくりに役立つと思うしな。
  • ロザン 宇治原さん 今回は、災害時に何をすべきかを深く考える機会になったかな。安田さんに教えてもらった防災知識で、「家を出る前にやっておくこと」の一つに“ブレーカーを落とす”っていうのがあったんやけど、これを確実に実践するためには、自分の家のブレーカーがどこにあるか知らないと意味がない。具体的に何をすべきか、よく考えることが大切やと思ったで。
  • ロザン 菅さん '津波てんでんこ'という言葉の意味も知っておくべきやな。自分の身は自分で守るということがすごく大事。だから、ボクは誰の言うことも信じません!
  • ロザン 宇治原さん そういう意味とちゃいますから(苦笑)。中学生記者のみんなには、それぞれの地元に帰ったら家や学校などの身近な人たちと一緒に、いざという時に集まる場所やどこに備蓄品を用意しておくかといった、災害に備えるルールづくりを実践してもらいたいな。そして、今回の取材で得た経験や知識を“記者”としてより多くの人たちに伝えていって欲しいと思うよ。
  • ロザン 菅さん そうやね、身の回りの大切な人に教えてあげたってな!
編集後記 -スマイルとうほくプロジェクト事務局より-

今回の取材テーマは「自分たちの手で、町を守る。犠牲から学んだルールづくりと記憶の継承」。北は福島県から南は沖縄県まで、全国から訪れた計7人の中学生は岩手県大船渡市で精力的に2泊3日の取材に臨みました。

初めに訪れた大船渡津波伝承館では、齊藤館長が大地震の最中から撮影した震災の映像が流され、皆、衝撃を受けた様子でした。またたく間に街を飲み込む大津波に「おさまってくれ~」「うぁ~~」という齊藤館長の叫び。私も、一気に2011年3月11日まで引き戻され、胸が痛みました。津波に飲み込まれる人たちをただ呆然と眺めることしかできなかった無念、悔しさ。こうした悲劇を二度と繰り返してほしくないと、「あなたには助かってほしい」と訴える館長の姿が印象的でした。

大船渡市消防団で新沼竹美団長から教わった「20分ルール」。岩手県内で水門閉鎖や住民の避難誘導中に90人の消防団員が殉職し、大船渡市でも3人の尊い命が失われたことを受け、団員の活動を津波警報発令後20分と定めたものです。ただ、20分という時間はあまりにも短く、多くの住民に手が回らないことを示す厳しいルールでもあります。消防団員の多くは会社勤めであり、災害発生時に地元にいるとは限りません。団員の避難誘導などを当てにせず、自分の命は自分で守るという、住民への覚悟を求めるものでもあると感じました。

また、三陸鉄道南リアス線の震災学習列車は、まさに被災地の「今」を列車で移動しながら直接「見て」「聞いて」「感じる」取り組みで、大変有意義でした。線路の土手が堤防の役割を果たし、被害を免れた地域もあることから、震災前と同じルートで運転を再開したことなどを学びました。震災時に車両が緊急停止して乗員・乗客が難を逃れた鍬台トンネルでは、震災当日と同じように列車が緊急停止。震災当日、車両に停止指示を出したという吉田哲運行部長の話は臨場感があり、参加者も当日の状況を「追体験」することができたのではないかと思います。

3日目のワークショップの発表を聞き、それぞれの中学生記者が、被災地が直面している現実と未来に向けた備えの重要さを、自らのものとして受け止めていると確信しました。そして、みんなが地元に帰ってすぐに全校や学級などで報告会を開き、今回の経験を共有してくれたとの便りが届きました。本当にありがたいことです。

今後も、厳しい現状に立ち向かいながら、災害に強いまちづくりを目指している被災地に思いを寄せ、それぞれの地域で防災意識を高めていってほしいと思います。

路線をたどって震災を学び、復興の息吹を体感する列車の旅へ。

Chapter 6 災害時の情報伝達 〜情報過疎を防ぐ取り組み〜 福島県福島市・二本松市を見る