それは、東北と日本中を笑顔でつなぐプロジェクト
取材一覧を見る
ワークショップ 気仙沼の復興を支える人たちの考えにふれ 自分たちが住む地域にふさわしい防災対策を模索
模造紙と付箋紙を使ってこれまで取材して得た情報を書き出していきます

気仙沼市の取材を終えて、ロザンのお二人と安田さんとともに、「各地の“地域防災”」について考察を深めるワークショップを「ニコンプラザ仙台」で行いました。中学生記者8人は、宇治原さん・菅さんそれぞれをリーダーとする2つのグループに分かれ、まずは、模造紙と付箋紙を使ってこれまで取材して得た情報を書き出していきます。取材メモを見ながら、印象的なキーワードや資料の中の重要な箇所を選び出し、それに対して活発な意見を交わしました。

次に、自分たちの地域で頻発している被害やこれから起きる可能性がある自然災害などを挙げ、自治体などで避難訓練や防災マニュアルの作成といった対策が取られているか、自分たちの学校や家で防災袋などの準備をしているかを発表。東北3県と同様に東日本大震災で被害を受けた茨城県の佐藤くんは、9万人近くの市民が参加する一斉防災訓練「水戸市シェイクアウト訓練」を紹介。菊池川の氾濫を経験している熊本県の澤田くんは、町の中に浸水した位置を表示している場所があることを話し、地域ごとに多彩な取り組みがあることが分かりました。

階上中で実践している防災対策を照らし合わせ、抜き打ち訓練や楽しく防災を考える場を作るといった、学校や小さなコミュニティでできる防災活動について考えました

そして、階上中で実践している防災対策を照らし合わせ、抜き打ち訓練や楽しく防災を考える場を作るといった、学校や小さなコミュニティでできる防災活動について考えました。台風や豪雪、火山の噴火など住む地域によって災害の種類は違ってきますが、いずれの場合も、常日頃から防災の意識を高め、臨機応変に対応することが大事だとみんな確信。その熱心な議論を、ロザンのお二人は興味深く耳を傾けていました。

中学生記者がカメラを手にして撮影したたくさんの写真の中から、特に印象深かったものを選んで感想の発表も行いました。

昼食を食べ終わった後、中学生記者がカメラを手にして撮影したたくさんの写真の中から、特に印象深かったものを選んで感想の発表も行いました。一枚を選びきれず、数枚を組み合わせて紹介する中学生記者も。中学生ならではの視点でシャッターを切った風景に、安田さんは満足そうに笑みを浮かべながら眺めていました。

今もなお残る震災の爪痕、地域の復興のために汗をかく働き手、震災の教訓を継承する中学生、気仙沼の海と共に生きる未来を選んだ人々。そのどれもが、中学生記者たちの心に、地元を愛し、多くの命を守るために自分たちができることを実践する意識を芽生えさせたはずです。

中学生記者の感想

吉田 花奈さん(長崎県/活水中学校2年)

吉田 花奈さん(長崎県/活水中学校2年)
被災地について知らなかったことが多く、取材を通じて知ることの大切さを学びました。地元に帰ったら、みんなに自分が聞いた話を伝え、これから起きるかもしれない大災害に備え、前もって対策を考えていきたいです。

澤田 賢太郎くん(熊本県/山鹿市立山鹿中学校3年)

澤田 賢太郎くん(熊本県/山鹿市立山鹿中学校3年)
地元と気仙沼は違った面も多いですが、防災に関して取り入れるべきことはたくさんあると感じました。それを帰ったら整理してまとめ、多くの人に広めることで災害の被害を減らす助けになれればと思っています。

兵頭 美沙希さん(愛媛県/愛南町立内海中学校3年)

兵頭 美沙希さん(愛媛県/愛南町立内海中学校3年)
このプロジェクトに参加することで多くを学び、有意義な時間を過ごせました。私たちの中学校も防災学習には積極的に取り組んでいますが、津波の恐ろしさや被災者の方々の苦労はこの取材で初めてふれることになったので、その実感を学校のみんなに伝えたいです。

池田 顕士郎くん(佐賀県/伊万里市立国見中学校2年)

池田 顕士郎くん(佐賀県/伊万里市立国見中学校2年)
取材をしていくなかで、多くの方からいろいろな話を聞くことができ、とても勉強になりました。今回学んだことを、自分の地元でより多くに人たちに教えてあげられればと思っています。

小笠原 彩華さん(島根県/島根大学教育学部附属中学校3年)

小笠原 彩華さん(島根県/島根大学教育学部附属中学校3年)
津波の被害を受けた人たちが、「海と生きる」というキャッチフレーズで復興のため頑張っているなど、驚きや発見がたくさんありました。島根では、一つでも多く、一人でも多く私が学んだことを伝え、これから起きるかもしれない災害の被害を少なくしていければと思っています。

正岡 碧海さん(京都府/立命館守山中学校3年)

正岡 碧海さん(京都府/立命館守山中学校3年)
この取材では、被災地についてたくさんの事を学ぶことができました。いろいろな方のお話を聞いて、人の温かさを感じたのが強く印象に残っています。みなさんの笑顔が、復興に向けて頑張る力になっているのだと思いました。

三石 允弥くん(長野県/上田市立第五中学校3年)

三石 允弥くん(長野県/上田市立第五中学校3年)
各県から集まった中学生と一緒に取材をしてワークショップをすることで、それぞれ土地柄によって違った災害があり、様々な問題があることを知りました。また、被災地の現状を自分の目で見ることができ、自然災害の恐ろしさや復興の大変さを実感できたことも良かったです。

佐藤 亮太くん(茨城県/茨城大学教育学部附属中学校2年)

佐藤 亮太くん(茨城県/茨城大学教育学部附属中学校2年)
このプロジェクトでは、東北の今を自分自身で確かめ、復興がまだ完了していないことが分かりました。茨城県も被災県ですが、震災の記憶が風化しつつあるので、防災の意識を高められるよう、今回学んだことをまわりの人たちにしっかりと伝えていきたいです。

ロザンの『いっしょに考えよう』コーナー
  • ロザン 宇治原さん 今回の取材は、学校とかフカヒレの会社とか、いろんな分野の方から話が聞けたなぁ。
  • ロザン 菅さん 気仙沼市がフカヒレで有名なのは知ってたけど、あんなにサメを使った製品があるとは知らんかったもんな〜!
  • ロザン 宇治原さん そうそう、シャークナゲットもうまかったし。
  • ロザン 菅さん 階上中学校では、熱烈に歓迎されてうれしかったなぁ。それに、防災学習が充実していて、僕らもすごく勉強になったな。
  • ロザン 宇治原さん 防災カルタ遊びも面白かった(笑)。ああいう風に、自分たちで楽しく防災について学ぶことは良いことだね。
  • ロザン 菅さん 中学生記者たちも、取材の成果を話し合っているのを聞いたら、みんなほんまにちゃんと話を聞いていると感心したわ!
  • ロザン 宇治原さん 地元と比較して、自分たちの住んでいる地域の災害を考えるきっかけにもなったみたいやし。地震がそれほど起きない土地もあるから、すべてが気仙沼市と同じってわけにはいかないけどな。
  • ロザン 菅さん そういう議論ができたことが成果やね。
  • ロザン 宇治原さん それぞれの地域にふさわしい防災対策が必ずあると思うから、この取材を通して聞いた話から、自分たちはどう行動すべきかを考えるヒントをつかんでくれればうれしいかな。
  • ロザン 菅さん そう、そして、身の回りの人たちと話し合って、ベストな答えを見つけて欲しいと願っています。
編集後記 -スマイルとうほくプロジェクト事務局より-

4回目の取材地となったのは宮城県気仙沼市。全国でも屈指の水産都市気仙沼の震災後の『いま』を知り、また地元の中学生が取組む「防災活動」を知ることでそれぞれの地域での「地域防災」について考えるというのが大きなテーマでした。限られた取材日程の中では、3年という月日が過ぎた震災の全てを理解することも、地元の中学生が積み重ね培ってきた防災活動を理解することも難しいと思いました。しかし、風化していく東日本震災、気仙沼について伝えたい、知ってほしい、これ以上災害で犠牲者を出さないために取組む防災活動を伝えるんだという気仙沼の人たちの熱意が、今回全国から集まった中学生8名には伝わったと確信しています。

震災から3年経った気仙沼ですが、予想以上に津波の爪痕がまだまだ残る市街地には驚いたことでしょう。かつての美しい港町の景色を取り戻すには程遠い、かさ上げや防潮堤、岸壁修復工事の現場。気仙沼の復興がまだ遠い先のことだと誰もが実感したのではと思います。

気仙沼では、震災復興語り部の垣下さんはリアルな体験談を話してくれました。

そして、「これからも海と生きる」を宣言した気仙沼の『いま』を話してくれた観光コンベンションの橋本さん。

気仙沼市の防災計画については、詳細を分かりやすく市役所の高橋さんが話してくれました。また、震災から復活したばかりのシャークミュージアムでは、迫力ある「復興シアター」を観ました。また、復興の最前線にいる建設業に携わる人たちにも会いました。取材当日は、海風の心地いい穏やかな天候でしたが、建設業に関わる方々の苦労には驚くことばかりでした。

そして、階上中生との交流。全国から集まった皆さんと同じ中学生が震災で何を考え、何を学びながら防災活動に取り組んでいるか。

それは、衝撃に近い、驚くことばかりだったのではと思います。最後は、気仙沼の基盤産業の水産業を支える中華高橋水産を訪ねました。

畠山さんが、会社が取組んでいる防災についての事や「気仙沼とサメの関係」についても分かりやすく説明してくれました。

実際に「サメ」の試食もさせていただき、気仙沼の食文化にも少し触れることができたのではと思います。

3日目のワークショップでは、皆で考えました。階上中の取組みと自分たちの学校や地域の取組みとの違い。そして自分の地域で起こりうる災害について、地域に合った地域防災に向けて自分に出来ることは何かを。

階上中生は「未来の防災戦士」を志して、東日本大震災の悲しみを乗り越え、ひた向きに防災活動に取組んでいます。

参加した8名の皆さんには、階上中生のその姿を忘れずに、それぞれの地域で「地域防災」について考え、取り組んでいってもらいたいと願っています。

気仙沼を支える水産業の未来のために、新たな領域に挑戦。

Chapter 5 自分たちの手で、町を守る。犠牲から学んだルール作りと記憶の継承 岩手県大船渡市を見る