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ワークショップ 原発事故の苦難に対峙して明日を見つめる人々から 復興を支える「エネルギーの未来」を考察
中学生記者8人は、宇治原さん・菅さんそれぞれをリーダーとする2つのグループに分かれ、模造紙と付箋紙を使ってこれまで取材して得た情報を書き出していきます。

郡山市・須賀川市の取材を終えて、ロザンのお二人と安田さんとともに、「エネルギーの未来」について考察を深めるワークショップを行いました。中学生記者8人は、宇治原さん・菅さんそれぞれをリーダーとする2つのグループに分かれ、模造紙と付箋紙を使ってこれまで取材して得た情報を書き出していきます。まずは、取材で特に印象深かったキーワードを集め、中学生記者同士で確認。実際に東日本大震災の被災地に立って感じたことをまとめました。

今回の取材で、中学生記者たちはたくさんの学びの成果が得られたようです。

避難場所で何が必要なのか、故郷とは何なのか、原子力発電に対してどう向き合うべきなのか、取材対象者から聞いた話を元に、それぞれ考えを発表しました。その鋭い視点に、ロザンのお二人もうなずきながら感心。今回の取材で、中学生記者たちはたくさんの学びの成果が得られたようです。

昼食後、ワークショップを再開。

続いて、再生可能エネルギーを自分たちが住む地域で、どのように導入し、活用できるかを考えました。中学生記者たちは日本各地から集まっているので、それぞれに違った課題があり、その問題解決策も違います。なかでも、香川県の民間団体で取り組んでいる、うどん店から廃棄されたうどん残渣を回収して活用する「うどんまるごと循環プロジェクト」には、「初めて聞いた!」と安田さんもビックリ。中学生たちのエネルギー問題に関する知識や関心の高さを窺い知ることができました。

そして、中学生記者がカメラを手にして撮影したたくさんの写真の中から、特に印象深かったものを選んで感想の発表も行いました。仮設住宅内の野菜畑やソーラーパネル、除染情報ステーションの看板など、チョイスした題材や理由も様々。中学生たちはみな、被災地の現実を真摯に見つめ、自分なりの捉え方で防災とエネルギーの未来を描き出すことがでました。また、取材後は各学校でテーマについて話し合っていただきます。

中学生記者がカメラを手にして撮影したたくさんの写真の中から、特に印象深かったものを選んで感想の発表も行いました。
中学生記者の感想

小山 舞優さん(新潟県/長岡市立東中学校3年)

小山 舞優さん(新潟県/長岡市立東中学校3年)
3ヵ所の取材地を巡り、自分たちに何ができるかを考えるきっかけができたような気がします。被災地について知ること、そして伝えていくことが大事だと感じましたので、この取材で得たことを身の回りの人に話してあげたいと思っています。

三枝 大耀くん(山梨県/大月市立大月東中学校2年)

三枝 大耀くん(山梨県/大月市立大月東中学校2年)
郡山市役所の方から聞いた、実際に行われている節電の工夫は、山梨県でもできると思いました。今回の取材で知り、考えた事を地元に帰ってみんなで共有し、東北のためにできることを実践していきたいです。

正出 七瀬さん(広島県/大崎上島町立大崎上島中学校3年)

正出 七瀬さん(広島県/大崎上島町立大崎上島中学校3年)
ここに来て、初めて知ることが多かったと感じています。富岡町の方々のように、荷物一つで避難したら町に戻れなくなったという状況を聞き、自分の身に置き換えるとそれは大変なことだと思いました。それが、取材を通して一番の衝撃となりました。

高橋 陸くん(岐阜県/岐阜聖徳学園大学附属中学校2年)

高橋 陸くん(岐阜県/岐阜聖徳学園大学附属中学校2年)
エネルギーの将来は自分たちの世代にいずれ託されていきますが、より良い生活を実現するために、安全でクリーンな「再生可能エネルギー」についてもっと考えていかなければと感じました。

中村 樹里さん(岩手県/野田市立野田中学校3年)

中村 樹里さん(岩手県/野田市立野田中学校3年)
岩手も被災地であり、友達の中には仮設住宅で暮らしている人もいます。同じ境遇の方たちを取材して共通点もありましたが、違った部分も多く、なかでも「人災」という言葉が特に心に響きました。これからは私たち若い世代が学び、新しい防災の考え方を創っていければと思いました。

三木 柚穂さん(香川県/坂出市立坂出中学校3年)

三木 柚穂さん(香川県/坂出市立坂出中学校3年)
最初は、街並もきれいで震災の跡を感じなかったのですが、取材を通してまだまだ復興途中なのだと知りました。原発事故の影響も大きく、お話を聞いて故郷への思いの強さにもふれました。今まで何も知らず簡単に考えていた自分が恥ずかしく思い、自分に何ができるのか、より考えを深めて実行していきたいです。

三原 寛貴くん(島根県/島根大学教育学部附属中学校3年)

三原 寛貴くん(島根県/島根大学教育学部附属中学校3年)
現地を訪ねて知ることが、本当に大切だと感じました。仮設住宅での取材では、真の復興とは建物や家ができることだけはなく、みんなに将来の明るい見通しが持てるようになることだと分かりました。新しく学んだ事も多いので、今後に活かしていければと思います。

高橋 奏音さん(栃木県/下野市立国分寺中学校3年)

高橋 奏音さん(栃木県/下野市立国分寺中学校3年)
放射性物質の問題が今もまだ深刻なこと、語り部の方が話している時、とても真剣な目をしていたことが特に印象に残っています。メガソーラーについては多くの可能性を感じ、帰ってからもっとよく調べてみたいと思いました。

ロザンの『いっしょに考えよう』コーナー
  • ロザン 宇治原さん 今回は、原発事故やエネルギーの問題やったから、中学生たちにはちょっと難しかったんとちゃうかな?
  • ロザン 菅さん 僕らにとっても、難しい話題やもんね。
  • ロザン 宇治原さん これまで、いろいろな被災地を巡ってきたけど、抱えている問題の質が違うよね。例えば、津波からの避難を考えた時は、ある程度明確な答えがあったけど、放射性物質や代替えエネルギーに関しては、賛成反対、いろいろな意見があって、正解だといえる回答を出すことができんもんなぁ…。
  • ロザン 菅さん それでも、取材を通して考え、自分たちの意見を発表してくれた中学生記者たちは立派!まあ、発表は僅差で菅チームの勝ちやったけどね。
  • ロザン 宇治原さん いや、勝ち負けの問題やないから(笑)。
  • ロザン 菅さん 新しい発電方法に、雪や地熱、うどんの残渣なんてのもあったけど、僕らも知らんような知識も出てきて面白かったなぁ!地元に帰ったら、友達や先生に教えてあげて欲しいね。
  • ロザン 宇治原さん 難しい課題やったから、この回が“外れ”だと思ってもらいたくないかな。むしろ、“当たり”の回だったと思うよ、今回は。
  • ロザン 菅さん これからの未来、さらに重要となっていく課題だからこそ、この取材に当たった中学生記者たちが中心となって、地域で話し合い、ベストな選択をして欲しいと願っています!
編集後記 -ネクストとうほくアクションプロジェクト事務局より-

本年度3回目の取材地となる今回は「福島で最先端の技術が花開く。未来志向の力と防災の取り組み」というテーマのもと、福島県郡山市、須賀川市を訪問しました。今回のテーマは、導き出される結論が一つではないため、非常に難しい内容であったかと思います。それでも、参加した8人の中学生たちは今回の取材、ワークショップに熱心に取り組み、多くのことを学び、福島の現状やエネルギー問題について他人事ではなく自分事として感じ取ってくれたと思います。

今回取材した郡山市の富田町若宮前応急仮設住宅は、東京電力第一原子力発電所の事故により、富岡町から避難をしている方々が生活しています。震災から3年半が経過し、被災地の情報に接する機会が少なくなる中、震災直後の体験談や避難生活の現状を知ることは、中学生記者にとって貴重な体験になったと思います。

また、原子力発電所の事故による悲劇を繰り返さないためにも、既存のエネルギーから脱却し、再生可能エネルギーによる社会の実現を目標としている福島県の取り組みも学びました。取材先である福島空港メガソーラーでお話しいただいた「エネルギーの選択は、生き方や未来の選択」という内容は、エネルギー問題が自分たちの身近な問題であるということを、改めて知る機会となったのではないでしょうか。

再生可能エネルギーには、多くのメリットがあるものの、実用するためには発電量や景観への配慮など様々な課題があります。今回のプロジェクトへの参加は、普段当たり前のように使用しているエネルギーについて見つめ直すとともに、自分たちの未来を考える場になったと思います。今回のプロジェクトを通じて学んだ「福島のいま」と「エネルギーの選択」について、それぞれの地域で考え、発信していってくれることを願っています。

本年度3回目の取材地となる今回は「再生可能エネルギー」というテーマのもと、福島県郡山市、須賀川市を訪問しました。
本年度3回目の取材地となる今回は「再生可能エネルギー」というテーマのもと、福島県郡山市、須賀川市を訪問しました。

悲しい出来事を直視し、未来へ安全な暮らしを継承していくために。

Chapter 4 僕らの言葉で伝えたい–気仙沼での復興に向けた取り組み 宮城県気仙沼市を見る