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鎮魂のバイオリン、志津川の海へ響け 演奏会の音源CD化

  • 2021-05-02 05:00:30
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東日本大震災の犠牲者に祈りをささげるため、国際的に活動するバイオリン奏者のマレー飛鳥さんとキーボード奏者の井上鑑(あきら)さんによって収録されたCDアルバム「風のうた」が3月、発売された。昨年3月11日、宮城県南三陸町の戸倉公民館で収録した音源を活用した。
アルバムを自主制作したのは、同町にルーツを持つ同県大崎市岩出山の護勢寺住職・菅原公宇(こうう)さん(71)と長女の写真家大森恵子(さとこ)さん(37)ら。昨年は当初、親交があるマレーさんを招き、入場無料の演奏会を企画したが、直前になって新型コロナウイルスの感染対策のため観客を入れることができなくなった。
マレーさんは当日、予定通り現れ、志津川湾を望む会場で熱のこもった演奏を繰り広げた。長年の音楽仲間で、ポピュラー音楽の編曲や福山雅治さんのバンドリーダーとして活躍する井上さんが駆け付け、即興演奏の曲も披露した。
菅原さんは「マレーさんから後日、犠牲者が眠る海に向けて精いっぱい弾いたと手紙を頂き、音源を生かそうと決めた」と振り返る。
アルバムにはマレーさんが作曲し、さえ渡る響きが印象的な「月は災いを忘れさせる」、井上さん作曲で時の流れを感じさせる「Kyrie(キリエ)」「神話の時間」など計8曲を収録した。菅原さんと長男、次男が演奏会場で読経した「被災者法要」の模様も収めた。
映像作家の夫と一緒にジャケットのデザインを担当した恵子さんは「演奏に協力してくれた公民館などの皆さんに感謝したい」と話す。
アルバムは税込み1500円。電話で申し込みを受け付け、送料別で郵送する。護勢寺0229(77)2403。【2021年4月11日 河北新報朝刊 写真:収録の様子を写した写真を見る菅原さん(左)と恵子さん(中央)ら=宮城県大崎市の護勢寺】