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閖上で津波の脅威を知る<311次世代塾>

  • 2021-10-11 05:00:35
閖上の震災前の姿や被災直後の様子を写真を使って説明する長沼さん=名取市閖上の日和山

東日本大震災の伝承と防災啓発の担い手育成を目指し、河北新報社などが運営する通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」第5期は9日、第7、8回講座を行い、仙台市若林区の震災遺構・荒浜小と名取市閖上地区を視察した。学生23人が参加し、津波で被災した両地域の震災前、震災発生時、震災後について学んだ。
荒浜小では折れ曲がった2階ベランダの手すりなど津波の痕跡や、かつての街並みを再現したジオラマを見学した。
案内役の仙台市嘱託職員の高山智行さん(38)は「荒浜小は防災・減災を学ぶ震災遺構というだけではなく、津波で家を失った地域の人たちが思いを寄せる場所でもあることを知ってほしい」と語った。
閖上地区では閖上中央町内会長の長沼俊幸さん(59)が講師を務め、日和山で震災前の風景や津波で変わり果てた町の様子を説明。閖上公民館では避難所、仮設団地での暮らしと生活再建の歩みを振り返った。
長沼さんは津波で流された住宅と再建した住宅のローンを両方返済しているという。被災者の二重ローンの問題について「住宅再建を諦めた人や、再建に苦労している人がたくさんいる。人が住んでこそ町なのに、住宅再建が思うようにできない」と指摘した。

【2021年10月10日付河北新報朝刊、写真=閖上の震災前の姿や被災直後の様子を写真を使って説明する長沼さん=名取市閖上の日和山】