台風１９号の浸水被害を受けた、いわき市の村田耳鼻咽喉科は九日、診療を再開する。佐藤かおる院長は「通ってくれる患者さんのためにもう一度、頑張りたい」と固い決意を示す。村田耳鼻咽喉科は、夏井川が決壊して甚大な被害を受けた同市平中平窪にある。以前にも夏井川の水があふれたと聞き、道路よりも高い位置に盛り土されていた同所で、一九九六（平成八）年に開院した。佐藤院長によると、地面から約一メートル八十センチ高くなっている診療所が床上約八十センチ浸水した。診察室やボイラー、患者のカルテ約九千枚などが水没。東日本大震災を機に低い場所へ置いていたレントゲンフィルムも使えなくなった。八人のスタッフ中、三人の家が被災した。手の空いているスタッフらと約三カ月をかけて洗浄・消毒、床や壁の貼り替えを行い、二台あったうち一台の医療機器を確保した。もう一台もめどが付いたことから再開を決めた。周辺は夜になっても暗いまま、戻れる状況にない人が多くいると感じている。佐藤院長は「不安はあるが、温かい支援と励ましに支えられた。二度と同じ被害がないことを願う」と前を見据えた。

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